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『龍が哭く』河井継之助

師匠 山田方谷

弟子 河井継之助



師弟の別れ。


とても印象的だったので、書き留めておこうと思います。


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「大切にいたします」

継之助も理由を聞かず、頭を下げて礼だけ述べた。


どこか危なっかしく見える弟子に、「長命」の名前をなぞらえて、「決して死に急ぐなよ」と意味を込めてくれたのかもしれない。


それとも若い継之助に必要なものではないのだから、この薬がいる年齢になるまではしかと生きよと諭してくれているだろうか。


(先生はこの俺を、旅の間だけでなく、ずっと先まで心配してくださっているのだ)

方谷の、限りない愛情と、それを正面切って言わない茶目っ気が継之助には嬉しかった。


(この薬は、一生涯のお守りにしよう)


捨てるべきときには捨てねばならぬ命だが、軽々しく捨てることがあってはならぬという、戒めとなるだろう。



〈中略〉




「先生、お世話になりました」

また同じ言葉を繰り返し、水面を滑り出した舟の中で手を突いた。


(俺は阿呆だな)


継之助は思った。
もっと気の効いた別れが出来ないものか。


だが、それを言うなら方谷も同じだ。
あれほど頭の切れる男が、今は言葉を失くして朴訥と涙ぐみ、無言で弟子を送ろうとしている。

だのに、どんな言葉で贈られるより、師の愛情がひしひしと伝わってくる。

舟はあっけなく対岸に着いた。


継之助は岸辺に降りると、雨に濡れた川原石の上に端坐し、再度手を突いて頭を垂れた。

じんわりと胸が温かい。

「ありがとうございました」

方谷にはもう聞こえないが、口にした。

それから立ち上がり歩き出したが、堪らなくなり、また振り返った。


継之助は三度端坐し、ありったけの思いで深く頭を下げた。

まだ足りなかった。

何度も何度も、互いの姿が見えなくなるまで繰り返し、継之助は師に頭を下げ続けた。





『龍が哭く』河井継之助
第三章 赤き心 より




師弟の絆。

弟子を思う師匠。
師匠を慕う弟子。

どこまでも尊い師弟の世界。


この師ありて、この弟子あり。



思わず涙してしまった。

師弟の別れ。












人生、出会いと別れ。

出会いがあれば、別れもある。


生きていく道。
試練や苦難。
様々なことが、襲い来る。



人生、出会い。
そして、人生は、旅。

旅である以上、出会いと別れを繰り返すのも、必然。


立ち止まるわけには、いかない。



この師弟の出会い。
そして、別れを通して、多くのことを感じさせられた。

また学んだ。
気付き、想いを巡らせることができた。



そして、励ましを頂けました。
とても有り難い。

感謝致します。
ありがとうございました。




2019 3 13 水曜日 21:34





春を呼ぶ、風が吹いてますね。